2018年03月

 今流行り(?)の仮想通貨に、自分も関心を持っています。歴史的に見れば、お金は少しずつ情報だけの存在に近づいているため、デジタルな情報だけの「お金」が次の主流になってもおかしくない、と考えるからです。
 とは言っても、自分自身はいまだに一単位も仮想通貨を持っていません。仮想通貨そのものを、投機的な目的で欲しいわけではないからです。
 自分はあくまで小説書きでありたいので、朝から晩まで仮想通貨の値動きに一喜一憂したり、新しい有望な銘柄を探し回ったりするような生活はしたくありません。


 なら、仮想通貨にどういう関心があるのかと言うと、仮想通貨が関連した、小説の新たなビジネスモデルがないか、と考えています。
 よって昨日、仮想通貨建てで小説を売るプラットフォームが何かないか調べたり、そこから考えたりして、次のようなサービスができたらいいな、と思いました。安直な発想なので、誰かがもう思いついているかもしれませんが……。
 例えば、仮想通貨建てで販売した小説やその内容紹介を、読者の好きな言語に自動翻訳してくれるサービスです。
 日本語で書いた小説を日本円建てで売っても、日本語が分かる人に向けて日本国内でしか売れません。しかし、自分が思いついた先述のサービスがあれば、出版社や翻訳者を介さなくても、世界中の人に対して自作の小説を売りやすくなります(競争相手の範囲も世界中にまで広がるので、競争がより激しくなるかもしれませんが)。


 そうしたシステムの開発を、どこかに依頼しようかとも考えました。しかし、数十万円~百万円単位でお金がかかるらしく、十分な原資を持たない現状では断念しました。よって、そういうサービスの登場をおとなしく待っている間、今使える手段で稼ぐことにします……。
 他力本願で情けないのですが、誰かがそういうものを作ってくれないかなあ……と思います。あるいは自分が知らないだけで、そういうものがすでにあるなら、情報提供いただけると助かります。
 先述したように、すでに誰かが考え付いているかもしれず、あるいは作り始めているかもしれませんが、とりあえず思いついたアイディアをここに残しておきます。

※本作に、実在の製品や企業様、その他個人や団体や集団などを誹謗中傷する意図は一切ございません。それでも抗議やご指摘などをいただいた場合、この記事を削除するなどの対応をさせていただきたいです。どうかご理解願います。


「私――マヒル・ハイダは、全世界統一共和国初代大統領として、全人類の利益を最大化することを、ここに誓います」
 演壇の上で胸を張り、俺は高らかに宣言した。
 大統領官邸の前。正面に見渡す限りに広がる広場に、世界各地から集まった人々がすし詰めになっている。全人類による世界初の統一国家、その初代大統領である俺の次の言葉を待つ彼らの表情は、期待に輝いていた。まるで、今日のよく晴れた空を映しているかのようだ。
 彼らを裏切るわけにはいかない。その誇りと、わずかなプレッシャーを胸に、
「さて、今まで公約には掲げてきませんでしたが……。全人類代表として、私が最優先で取り組みたい課題は――」
 俺は演台に両手をつき、前に身を乗り出す。人々がかたずをのむ中、俺が続けた言葉は、
「――全世界で、ハイヒールを禁止することです!」


 話は、俺が十代だった頃に戻る。
 ある日の学校帰り。人並みに人生に迷っていた俺は、占い師と話をしていた。
「やりたいことが、見つからないんです……」
 俺が悩みを吐き出すと、占い師のばあさんは、
「そうだねえ……。現在のあんたが、未来にどうなるかを考えるためには、過去のあんたを知る必要があるねえ……。それも、あんたの前世から……」
 そう言いながら、テーブルの上の水晶玉を覗き込む。そして、
「おや……。あんた、前世ではずいぶんドジだったようだね……。若い娘の姿が見えたが、その子はハイヒールで転んで死んじゃったよ」
 ばあさんが続けた言葉が、俺に一つの決意を抱かせた。
 ――だったら俺は、ハイヒールがない世界を作る! それが俺の使命だ!
「ありがとうございます! やりたいことが見つかりました!」
 俺は適当に取り出したお札数枚をテーブルに叩きつけ、お釣りも受け取らず、わき目も振らずに立ち去った。


 それから俺は、世界を変えるための活動を始めた。
 一生懸命勉強して政治家になって、議会で根回しに根回しをしてのし上がって。閣僚を歴任したのちに首相になってからは、やっぱり他国への根回しを重ねることで数々の国際紛争を調停して。そして世界統一の気運が高まってくると、俺は世界平和の功労者として、全人類の初代大統領に選ばれた。
 簡単に言ったが、その間実に四十年……。長かった。


 そして今。俺の決意を――俺が世界の大統領になった真の目的を聞いた人々は、一様に沈黙していた。
 俺の崇高な目的に、言葉を失ったのだろう――そう思っていると、
「「「「「ふざけるなあああああああああああああああああああああああああああああああっ!」」」」」
 数秒後返ってきたのは、怒号の嵐だった。俺やその背後の官邸を、丸ごと吹き飛ばしてしまいそうなほどの。
 怒り狂った人々が、津波となって押し寄せる。俺や周囲のスタッフが、あっという間に包囲された。側に控えていた数人の護衛たちも、対応を迷っている間に押しのけられ、俺から引きはがされる。俺自身も、殺到した人々に殴られ、もみくちゃにされ、地面に引き倒された。
 暴徒の中には、いろいろな人種や民族の人たちがいて、
「ふざけるな! そんなことのために、私たちの国を吸収したのか!」
 そうした憤りを口にしていた。
 また、彼らの中には女性も多く混じっていて、
「好きな靴を履いて何が悪い! あんた一人で勝手に禁止するな!」
 というようなことを、口々に怒鳴っていた。
 どうして、こうなったんだ……。という呆然とした思いを抱きながら、俺は何本もの脚に蹴りつけられ、踏みつけられる。身体中から嫌な音がして、意識が薄れゆく中、自分を攻撃する脚が様々な靴を履いていることをぼんやりと認識する。
 革靴にスニーカーに――そしてハイヒール。
 それが、俺が人生で最後に見たものだった。